(ホームシック衛星2024年に行ってきた。あまりに素晴らしいライブだったのでここに思ったことを書き残しておこうと思う。)
現代において暦といえば西暦が使われており、ほかにも元号やら太陰暦やらと色々な暦が存在する。これらの暦というのはある時点を基準にした時間の相対的な尺度を提供するものである。
西暦ならキリストの誕生を基準にしている。その基準がBUMP OF CHICKENの活動開始1996年2月11日であって悪い理由があるだろうか。そうすれば今年が28年目という特別な年であり、ホームシック衛星2024が開催されたことの十分な理由になる。
つまりどういうこと?
ホームシック衛星2024というのは2008年頃に開催されたホームシック衛星・ホームシップ衛星というツアーのリバイバルツアーである。
このホームシック衛星・ホームシップ衛星(2008)は当時発売されたOrbital Periodというアルバム曲を中心としたツアーだった。メンバーが28歳になった際に作成されたアルバムであり、その28という数字にも色々と意味が込められた上で作成されたアルバムだった。つまりは、随分と思い入れのある曲たちを演奏するツアーだったわけである。
そして、このOrbital Periodを擦り切れるほど聞いていた私にとっても、個人的にも思い入れのあるアルバムツアーであった。
なぜならいつだって思い出というのは主観的なものであるからだ。
この2008年のアルバムツアーをリバイバルするというアナウンスが去年突如なされた。いや、実際BUMPの公式発表はいつだって唐突なのだが、これに関しては特に驚いた。
というのも、今までBUMPがリバイバルツアーなんてやったことはなかったし、しかもOrbital Periodなのだから。
ちょっと昔話だが、BUMPというのは2010年前後までは極端にメディア露出を避けていた。いまや殆ど全ての新曲が何らかのドラマ・アニメ・映画のタイアップだが、そういうのことすら無い時期というのが特に2008-2012年くらいにあった。(例外はいくつか存在するが)
そうなると彼らの存在を認識できるのは週に一回の日曜深夜三時のPONTSUKA!!とYouTubeに違法にアップロードされたホームシップ衛星(さいたまスーパーアリーナ)のライブ映像だけだった。そしてそのライブ映像で演奏されていた曲たちがOrbital Periodの曲であった。
また、ホームシップ衛星(2008)がきっかけにライブというものに参加するようになった。
上記のライブ映像を中学校の登下校の最中に気が狂うほど聞いていたため、その次のアルバムツアーであるGood Glider Tour (2011)が開催されると聞いた時には、なけなしの金をはたいてチケットを購入した。
ライブ会場は渋谷のNHKの横にあったSHIBUYA-AXというライブハウスだった。中二だった私は5時間目の授業が終わると居ても立っても居られなくなった。当時はグッズ整理券や通販などはなく、グッズを購入したければ早くライブ会場に到着することが何よりも重要だったからだった。私は学級委員であったのにもかかわらず、その担当であった下校前の集会を欠席し、その後の担当だった教室掃除を当時付き合っていた彼女に任せ、中学校から約2km先のSHIBUYA-AXまで全速力で走ったことを覚えている。
会場に到着すると、今の私と同じくらいの年齢のファンがグッズ販売の白いテントの前にそれはそれは長い列をなしていた。恐らく12月の寒空だったと思うが、私はそこで学校帰りの制服でツアータオルとリストバンドを購入した。ちなみにこのツアータオルは修学旅行先の京都のタクシーの中に置いてきたまま無くしてしまった。
閑話休題。つまりは、それほどまでに1つ1つのライブや曲に思い入れのある時期に聞いていたアルバムがOrbital Periodであった。
情熱は約束を守り続ける。そして開催されるリバイバルライブツアーは明らかに気合の入ったものだった。ツアー開始が2/11という結成記念日だし、グッズは当時のデザインを意識したものになっていた。おまけに近年改善されたはずのグッズ販売列は終わりが見えないほど伸びており、開演1時間前に到着した私は全くグッズを購入することが出来なかった。ここは再現しなくてもよかった。
セットリストは完全に当時の再現だった。いや、厳密には数曲だけ異なっていたが構成は殆ど当時のまま演奏した。ライブ初演奏の曲や既存の曲を組み合わせた新曲など、発売16年目のアルバムに新しい解釈が生じ、近年高騰しているチケット代以上の内容だった。
BUMPの曲は藤原がある時期から明言し始めたように、解釈が一意に定まらないように作られている。特に近年の曲はその傾向がある。つまり、聞いた側で好きなように受け取ってくれということである。そしてその解釈が自分の人生(というと大げさだが)やら環境の変化とともに変化する。当時なんとも思わなかった曲が10年経って物凄く"効いて"きたりする。
Orbital Periodを聞いていた中学生のころと今では、適当な人生を送ってきたとはいえ感じるものが違う。演奏された曲の中から特に印象的だった曲を数曲とそのフレーズをあげておく。
君に嫌われた君の沈黙が聞こえた。君の目の前にいるのに遠くから聞こえた。
近年はアンコール曲で多かったメーデーだが、さすがホームシック衛星なので一曲目だった。最初からクライマックスという感じだった。
- 東京讃歌
嘘が多いのはどこでもだろう。星が見えたってどうせ飽きるだろう。すれ違う中には似た理由でここへ来た人も少なくないだろう。
Orbital Periodではなくpresent from youからだが今回初演奏された。イントロのハーモニカは無く4本での演奏だったのでシンプルだった。
- ハンマーソングと痛みの塔
別に今更辛くもないけど誰かが見てくれたらな。これだけあれば許されないかな少し優しくされるくらい。
独特の手拍子を最初から煽る演出だった。最近優しさが足りないです。
- supernova
君を忘れた後で思い出すんだ。君との歴史を持っていたこと。
君を失くした後で見つけ出すんだ。君との出会いがあったこと。
毎回ここで涙腺崩壊しそうになるが今回は耐えた。
ということで素晴らしいライブに元気をもらいました。